クリティカルシンキングとはなにか?これからのビジネスパーソンに必要なスキル
クリティカルシンキングという言葉を聞いたことはありますか。
現在、この思考法がビジネスパーソンに求められるようになってきました。
「クリティカルシンキングとはなにか」、「なぜ求められているのか」、「どのように使うのか」を解説します。
この記事の目次
クリティカルシンキングとは
クリティカルシンキングとは、感情や主観に流されず、客観的に物事を判断しようする思考のプロセスです。
批判的思考とも呼ばれ、その考え方が本当に正しいのかを検証します。
自分の考えに対して、「なぜなのか」、「本当に正しいのか」と批判的な問いを行うことで、物事の本質を見極められるようになります。
なぜクリティカルシンキングが必要なのか
ビジネスにおいて、なぜクリティカルシンキングが必要なのでしょうか。
それは、価値観の多様化にあります。
かつての日本は、「低価格かつ高品質」などの、明確な基準がありました。
企業は、その基準を追求する事で、事業を成功させようとしました。しかし、現代は情報社会になりました。
インターネットやSNSの普及により、あらゆる価値観に触れるようになりました。一つの基準に合わせるだけでは、ビジネスを成功させることが難しくなってきています。
例えば、飲食業です。
かつては、「安くてスピーディでうまい」などの価値観に基づいた事業を行ってきました。しかし現在、新たな価値観が加わってきています。
それは、料理を見た目で楽しむことです。
SNSの普及により、多くの人が料理の写真を撮るようになりました。そこで、お客さんは料理に対し、「味覚で、かつ視覚でも楽しめるもの」を求めるようになりました。今では、様々な飲食店で、「映え」を意識した商品が普及しています。
価値観の多様化により、これまで正しいと考えられてきたものが、通用しなくなってきています。一つの基準に合わせるだけでは、ビジネスは成功できなくなってきています。
そのため、クリティカルシンキングを行い、本質を見極め、時代に適応した意見や判断が必要になりました。
そして、事業を成功・継続させるために、自ら新しい考えや意見を持てるビジネスパーソンが必要になってきているのです。
クリティカルシンキングに必要な考え方
クリティカルシンキングを行う際、基本的な考え方があります。
それは、「ゴールを明確に設定する」、「思考の癖、偏りを意識する」、「問い続ける」です。
ゴールを明確に設定する
常にゴールを意識することが大切です。
クリティカルシンキングは、課題解決のための手段です。何のために問うのかが明確でなければ、意味のない課題に、時間と労力を費やしてしまいます。
思考の癖、偏りを意識する
どんな人でも必ず思考の癖や偏りがあります。自分の経験や記憶がある以上、仕方がないことです。
客観的に物事を判断するためには、「自分の考え方は偏っている」、「間違っている可能性がある」という自覚が必要です。自分の考えに対して否定を行うので、慣れない頃は違和感や嫌悪感を抱きます。
しかし、良い解決策を得るためには、改善点を探し続けることが必要不可欠です。
問い続ける
課題解決まで、常に考え続けることが大切です。
何度も「これは本当に正しいのか」と問い続けることで、物事の本質的に近づきます。
そして、優れた解決策を得られます。
クリティカルシンキングの流れ
クリティカルシンキングを行うとき、前述の考え方と合わせて、適切な進め方があります。それは、「現状分析」、「課題を見つける」、「解決のためのアクションを考える」です。
現状分析
まず、思考する目的をはっきりさせましょう。
ビジネスにおけるクリティカルシンキングは、「目的」のために行います。目的を正しく設定することで、細かいことに意識を向けてしまったり、無駄な議論を避けられます。
ゴールを明確にしたら、そのゴールに辿り着くために、現状を分析します。
この段階では、「なぜ」などを問う必要はありません。「どういう戦略を立てているのか」「利益はどれくらいだ」などの状況だけを洗い出しましょう。
課題を見つける
現状分析が終わったら、課題は何か見つけましょう。
ゴールと現状の差を整理します。その差がなぜ生まれているのかを考えましょう。
「なぜなのか」、「本当に正しいのか」と問い続けましょう。この時、常識や今までの会社の方針にとらわれることなく考えることが、大切です。
「そもそも~は正しいのか」とすべてに問いを立てることで、今まで気づかなかったことに気づくようになります。
解決のためのアクションを考える
課題を見つけたら、最初に決めたゴールを達成するためのアクションを考えます。見つけた課題に対して、「ではどうすればいいのか」と、具体的な行動に落とし込める解決策を考えましょう。
具体例
実際に具体例を用いて、クリティカルシンキングを実践してみます。これから出す例は、架空の飲食店に関するものです。結論ではなく、思考のプロセスに注目してください。
【設定】
「カフェ」の営業利益率を改善する。これからどういう戦略で営業するか議論する
【月商300万円の店舗の場合】
売上高 | 100% | ¥3,000,000 |
---|---|---|
原価 | 30% | ¥900,0000 |
人件費(アルバイト) | 22% | ¥660,000 |
水道光熱費 | 6% | ¥180,000 |
その他 | 7% | ¥210,000 |
家賃 | 10% | ¥300,000 |
人件費(正社員) | 15% | ¥450,000 |
営業利益 | 10% | ¥300,000 |
*青-変動費 赤-固定費
ゴールの設定
- 営業利益率を10%から15%にしたい。
- 場所と正社員は変わらないので、変動費のみ議論する。
現状分析
現状分析では、その時点で分かっている事実だけに注目します。主観的な的な要素は極力除きます。
- 損益計算は上記の表のとおり。
- 既存顧客との関係性を重視している。
- 既存顧客のリピート率を高めるため、既存顧客の求める新商品を提供してきた。
- 新商品の原価率は高い。
- アルバイトの増員は人手不足もあり難しい。
課題を見つける
今まで当たり前だと思っていることでも、それが「本当に正しいのか」と客観的に考えます。
今までの考え方で課題を見つける
- 新商品は原価率が高いため、原価率を低くする方法を考える。
- 原価率を抑えた新商品を開発する。
- 店舗オペレーションを改善して、アルバイトの人数を減らす。
クリティカルシンキングで課題を見つける
- 本当に既存顧客を優先することが良いことか?
- 原価率を下げるのではなく、販売数を増やすことで利益を上げられないか?
↓
むしろ、原価率を上げた高品質の商品を開発し、新しい客層の増やす方法はないか?
解決のためのアクションを考える
今までの考え方で解決する
- 原価率を抑えた新商品を開発と提供回数を増やして、利益率とリピート率を高める。
- 変動費であるアルバイトの人件費を削減する。(ただし、接客の品質低下の懸念)
クリティカルシンキングで解決する
- 今後、収益が見込めそうな新しい客層をターゲットにする。
- そのために、原価率を上げた目玉となる高品質商品を開発し、新規客層を増やす。
- 客数を増やすことで、利益率の向上を図る。
まとめ
クリティカルシンキングは、今まで気づかなかったことに気づくチャンスを与えてくれます。そして、その気づきが、課題の解決や世の中を変える新サービス、商品の開発につながります。
読者のクリティカルシンキングにより、会社が前進するかもしれません。
ぜひ、クリティカルシンキングを取り入れてみましょう。