デキるビジネスパーソンならPREP(結理事結)!説得力ある話し方とは

最終更新:2022年09月08日 公開:2022年09月09日

一般的に、「『起承転結』で話を構成するように」と学校では指導されます。しかし、スピードが求められるビジネスシーンではPREP法という異なる話し方が理想とされます。PREP法とは何なのか、どうしてそれが求められるのか、そして起承転結型の話し方との違いについて、解説します。

PREPはビジネスパーソンが覚えておきたい考え方

結論(Point)・理由(Reason)・事例(Example)・結論(Point)の頭文字を取った、PREP(プレップ・結理事結)と呼ばれる話し方があります。

この話し方では、最初に結論を伝えることが重要です。短いトークの中で、こちらが考えていることを端的に伝えられるメリットがあります。

ビジネスパーソンは、商談や事務処理など、日々の仕事の中で時間が限られており、できるだけ簡潔に情報を得たいと考えている人が少なくありません。
そうした相手に聞いてもらいやすいのがPREPなのです。

最初に結論、理由・事例はそのあとに

PREPで重要なのは、最初に結論が来ることです。

本来、すべての物事には原因があって、その結果としての結論があるため、時系列順に並べると結論が後ろに来ます。
また、日本語では「~なので、こうなりました」という言い方をするように、理由を先に述べたくなるものです。
しかし、忙しい人ほど「どうなったか」「どうしたいか」の部分を先に聞きたいと感じるでしょう。

「そもそもこの話を詳細に聞く必要があるか」「どこに重点を置いて理解しながら聞くべきか」という判断をしたいからです。

なので、PREP法では、まずは結論を述べ、そのあとで理由と補足情報を伝えます
そして、最後に改めて結論を言い直すことで、相手にこちらの主張の意図が誤って伝わらないように配慮します。

起承転結との違い

起承転結では、物事が起こった経緯の順番に話します

報告書など、経緯から正確に把握しておかなくてはいけない場面では、時系列通りの説明が効果的と言えるでしょう。
しかし、上司への業務報告など短い時間で相手に状態把握・情報伝達をしようと考えるのであれば、あまり適切な手段ではありません。
また、PREP法と比較した際のデメリットとして、相手に説明すべき内容が簡潔にまとめにくく、情報の抜け漏れが発生してしまうリスクが高まる、という点があります。

起承転結は「最初に問題・課題があり、それを解決するための道のりを説明する」という形式に近くなります。
そのため、話全体が長くなりやすく、何を言っていて何を言っていないかの整理が、自分の中でもうまくつけられなくなる可能性があります。

どちらがいい場面かはその時の判断で

PREPはビジネスシーンで有用なトークスキルではありますが、万能というわけではありません。短い言葉で状況を説明できてしまう分、情やユーモラスな部分は表現しにくくなります。

日々の雑談や、商談前のちょっとしたアイドリングトークでは、PREPよりも起承転結型のほうが話しやすいでしょう。
2つの話の展開方法をマスターして、ビジネスをより円滑に動かしましょう。

PREP・起承転結を使った話し方の例

PREPを使うほうが好ましい例

(例1)

ある商品の開発を依頼された営業マンが3種類の試作品を持って営業先を訪問し、担当者に「起承転結型」でサンプルの説明をした場合
(起承)商品の素材の選定には時間がかかりました。材料であるA、B、Cをそれぞれ使ってみようとしたのですが、いずれも御社の希望通りの結果が得られなかったのです。
(転)そこで、AとB、それに少量のCを混ぜたところ、ちょうどいいものになりました。ただ、具体的にどれくらいの柔軟性が必要なのか、御社に判断してほしいと思いました。
(結)今回お持ちしたのは、Cの配合量によって柔軟性が異なる3種類です。どれが最も理想に近いか、ぜひお聞かせください。

この説明の仕方は確かに丁寧ですし、開発秘話のようで、感情面では理解しやすいかもしれません。

しかし、目の前にいきなり何なのか分からない商品サンプル3つを並べられた取引先の担当者は、困惑してしまうでしょう。
また、3つのサンプルの柔軟性が違うことまでは伝えらえていますが、具体的にどう違うのかについて、この説明だけでは分かりません。

こういう場面ではPREPを使ってシンプルに伝えたほうが望ましいと言えます。

(例2)

ある商品の開発を依頼された営業マンが3種類の試作品を持って営業先を訪問し、担当者に「PREP型」でサンプルの説明をした場合
(結論)今回お持ちしたのは、柔軟性の異なる3つの試作サンプルです。ぜひこちらについてのご意見をお聞かせいただきたいです。
(理由)前回の商談を受けて材料を検討した結果、A、B、Cを組み合わせることで御社の希望に近い試作品ができました。ただ、どの程度の柔軟性をお求めなのか判断に迷ったので、今回は3種類お持ちしています。
(事例)パターン①はこの程度曲がります。パターン②はこの程度、パターン③はこれくらいの柔軟性があります。
(結論)こちらの3つの試作サンプルの中だと、どれが最も理想に近いか、ぜひお聞かせください。

こうすると、「持ってきた3種類の試作サンプルに対して担当者がどう考えるかの意見を聞きたい」という自分の考えが最初に伝えられます。

同時に、担当者も頭の中を整理した状態で話を聞いてくれます。
さらに、起承転結型では抜けてしまった「3種類のサンプルの違い」を説明できています。

起承転結型を使うほうが好ましい例

一方で、雑談ではPREPが必ずしも適切ではない、という事例をご紹介します。

(例3)

桃太郎が鬼退治に行った時の経験を「起承転結型」で話している。
(起)育ててもらったおじいさん、おばあさんに恩義を感じて、僕は鬼ヶ島に鬼を退治に行くことにしました。
(承)道中、イヌ、サル、キジと出会いました。おばあさんが持たせてくれたきびだんごを渡すと、彼らが仲間として付いてきてくれました。
(転)鬼ヶ島に着いたのですが、赤鬼も青鬼もとんでもなく強かったので、危なく返り討ちにあうところでした。
(結)しかし、仲間になってくれた3匹の助けもあって、無事に鬼を倒すことができました。

(例4)

桃太郎が鬼退治に行った時の経験を「PREP型」で話している。
(結論)鬼ヶ島まで鬼退治に行き、無事に鬼を倒すことができました。
(理由)というのも、僕は育ててもらったおじいさんとおばあさんに恩義がありました。鬼はかなり強いと聞いていましたが、いただいた恩を返すためにも、どうしても鬼退治しなくてはと決意したのです。
(事例)噂通り鬼はかなり強く、もし仲間になってくれたイヌ、サル、キジがいなければ、鬼に勝てなかったかもしれません。
(結論)それでも、彼らのおかげで無事に鬼を倒すことができ、良かったです。

このようにPREP型で雑談してしまうと、最初に話のオチが来てしまいます。

『桃太郎』のように結論自体が現実離れしている内容であれば、「それってどういうこと?」と相手を引きつけられるかもしれません。
しかし、一般的な雑談では、オチが分かっている話をいつまでも聞かされ続けるのは、必ずしも楽しいものではないと言えるでしょう。

PREPで伝えたいことを明確に

PREPは、最初に結論から話し始めることで、相手の理解を促進する効果が期待できる話し方です。

短い時間で高い説得力のあるトークが可能なため、ぜひとも覚えておきたいテクニックです。また、ビジネスシーンで「結局何が言いたいの?」と言われてしまう人は、PREPがうまく使えていないのかもしれません。

こうした方は、言いたいことを「結論」「理由」「事例(結論や理由を補足する具体的な例)」の3つに切り分けて話を組み立てる練習をするといいでしょう。

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