人間関係で悩む人必見! コミュニケーション技法《アサーティブネス》とは?

最終更新:2020年02月04日 公開:2019年11月26日

「上司から仕事を頼まれ、断れず引き受けてしまった」
「後輩が同じことを何度も聞いてきて、うっかり嫌な言い方をしてしまった」
「批判され、ついカッとなって言うつもりのないことまで言ってしまった」
「いつも自分の思いをうまく伝えられず、もどかしい」

皆さんは、こういった経験に覚えはありませんか?自分のコミュニケーション能力になかなか自信が持てなかったり、いつの間にかトラブルに巻き込まれていたりなど、人間関係の悩みは誰にでもあるものです。

この記事では、職場やプライベートで人間関係の悩みを持つ方へ、
相手を尊重しつつ自分も大切にするコミュニケーション技法「アサーティブネス」をご紹介します!

アサーティブネスとは?

アサーティブネスとは、「相手を尊重した上で、誠実に、率直に、対等に、自分の要望や意見を相手に伝えるコミュニケーション方法論」のことです。

アサーティブネスの語源は「自己主張すること」。ただし、一方的に主張するのではなく、「相手の自己主張する権利を認めたうえで、自分自身の意思や権利を主張しよう!」というのがアサーティブネスの考え方です。

しかし、人間関係における自分の態度や癖は簡単には変わりません。そのため、自分のコミュニケーションパターンを確認し、変える練習が必要となります。これを「アサーティブ・トレーニング」といいます。

“性格”ではなく“伝え方”を変えるもの

人間関係の問題を、相手や自分の「引っ込み思案な性格」や、「なんでもはっきり言ってしまう性格」のせいだと判断し、あきらめ、開き直っていませんか?

コミュニケーションにおいて大切なのは、性格で左右される社交性ではなく、「本当に伝えたいことを適切な言葉で伝えることができる」というスキルや考え方です。アサーティブ・トレーニングでは、そうしたスキルや考え方を身につけられます。

アサーティブネスの4つの柱について

アサーティブネスなコミュニケーションを身につけるにあたって、重要なキーワードは以下の4つです。表現が多少下手でも、これらのことを意識すると、自然と言葉や態度もアサーティブなものになります。

誠実:自分自身にも、相手に対しても誠実であること
率直:気持ちや要求を伝えるときは遠回しではなく、率直に相手に伝わる言葉にすること
対等:上から目線や卑屈な態度はやめて、自分も相手も尊重した対等な態度
自己責任:「言った責任」も「言わずに済ませてしまった責任」も自分が引き受けること

あなたのコミュニケーションタイプは?

コミュニケーションタイプは大きく以下の3つのタイプに分けることができます。あなたはどれに当てはまりますか?

攻撃的! ドッカンタイプ

自身の気持ちや意見を主張することが出来る一方で、相手の気持ちや意見を尊重できていないのが攻撃的タイプ(ドッカン)です。

コミュニケーションにおいては「自分が基本的に正しく、相手が間違っているんだ!」と考え、相手の感情を無視したり、軽視したりして言い方が一方的になったり、威圧的な態度をとることがあります。

このタイプは、表向きには押しが強く、自己主張ができる人だと思われます。しかし、相手への期待が高すぎる傾向にあり、相手から反感を買って主張が受け入れられないケースもあります。

職場ではそうならなくても家族や友人、パートナーの前ではドッカンが出てしまうことはよくあり、ちょっとした言動に腹を立てキツイ言い方をしてしまいます。

このタイプの人は自分の気持ちに誠実に向き合い、感情をコントロールすることが大切です。「相手が全部悪いんだ」という考えになっているときは要注意です! そんなときこそ一息おいて、アサーティブネスを思い出してみましょう。

受身的! オロロタイプ

嫌なことでも相手の気持ちを最優先して「ハイ」と答えてしまうがゆえに、周りからは「何でも言うことを聞いてくれるいい人」と思われがちなのが、受身的タイプ(オロロ)です。

このタイプはいったん引き受けたことは最後までやり通す、まじめで責任感が強い人です。「波風が立つ」し、「相手の気分を害するかもしれない」という思いから自分さえ我慢していれば良いと感じていて、黙っているか相手に譲ることを選択してしまい、ストレスをため込みやすい傾向にあります。

人間関係で問題が起こったときに、「自分のせいでこうなった」、「私が悪いからだ」と自分を責めるか、「しかたがない」とあきらめて答えを出そうとします。

また、相手の態度によって自分の気持ちが左右されるため、相手からの見返りがないと、いつの間にか心の中で相手を責めたり恨んだりする気持ちが膨らんできます。それがある日ぷつんと切れると「私が今までどんなに我慢してきたと思ってるの!」と責めたり、突然関係を切ってしまうという場合もあります。

このタイプの人は「自分だけが我慢する関係は長続きしない」ということを自覚し、相手だけでなく、自分の気持ちも尊重したコミュニケーションを意識してみましょう!勇気を出して「自分はこう思う」と伝えてみると、思った以上に相手は受け止めて聞いてくれるかもしれません。

作為的!ネッチータイプ

正面切って人と対立することがない代わりに皮肉や嫌みを言う、雰囲気や態度で伝える、第三者を介して伝える、といった方法をとって相手をコントロールするのが作為的タイプ(ネッチー)です。

このタイプは何か不満があっても表立って事を荒立てるようなことはしません。しかし、黙っているのもしゃくなので、相手に罪悪感を抱かせコントロールしようとします。表向きは冷静に見えますが心の中では相手を責め、はっきり伝えずため息をついてみたり、不機嫌になってみたり態度で示します。

策略家のように見えますが、もっと素直に伝えたいという思いがあるにもかかわらず、うまい伝え方がわからないことにモヤモヤしている部分もあります。

こういったネッチーな態度を受けた側は、直接言われたわけではないので相手を責めることも出来ず、自分が悪いような、嫌な気分になります。こういったことが積み重なると関係が冷えていきます。

このタイプの人は、皮肉や嫌味は言ったほうも言われたほうも後味が悪いということを心に留めてください。そして本当に自分が伝えたいことを正直に、直接言葉にしてみましょう。あなたが素直になることで深まる関係性もあるはずです。

出典:NPO法人アサーティブジャパン

「No!」をうまく伝えるには……アサーティブネスに振舞うコツ

「ノー」の気持ちを表現できないことはストレスとなり、積み重なると体や精神の不調として現れてきます。胃痛や頭痛になったり、常にイライラして怒りっぽくなったりして、職場や私生活において周囲の人間にも影響を及ぼしかねません。

また、「ノー」は言い方も重要です。

無理なことを頼まれたからといって、詳しいことを聞かずにたった一言「ちょっとできないです」「ムリです!」では相手からすると、自分の要求を一切受け入れる気がないような印象を受けてしまいます。言葉ではなく態度で示すのも、理由や意図が正しく伝わらず誤解を生み、関係がこじれる原因となってしまいます。

こういったことを防ぐために効果的な断り方を順を追って紹介します。

依頼の内容をはっきりさせ、相手の“気持ち”を受け止める

ほとんどの場合、相手からの依頼やお願いは相手が本当に困っているか、良かれと思って善意で行われています。そのため、まずは相手のお願いを正しく理解することから始めます。

「〇〇日まで△△を✖✖さんにですね」
「△△についてのお話ですか?」

など念押しや復唱を行うことで、依頼やお願いについて正しく理解し、自分の言葉で確認することが必要です。

話を聞いた結果、自分にとって断るべきだと判断した場合も、「ノー」を言う前に相手の気持ちを丁寧に受け止めましょう。

「誘ってくださるのは大変うれしいです」
「せっかくなのでご一緒したいのですが」
「お手伝いしたい気持ちは山々ですが」

などのフレーズが使えそうですね!

このように相手の依頼を正しく理解し、気持ちを受け止めることで、相手はしっかり向き合ってもらえていると感じ、「ノー」が攻撃的な印象で相手に伝わることを防ぎます。

お互いにとって良い代替案を出す/断る理由を説明する

相手の話を正しく理解したら、自分にとってどこが「ノー」なのか、どうして「ノー」なのかを考えます。このプロセスは重要で、自分の心に素直に、誠実に問いかけることが大切です。

「お話は理解しました。少しお時間をいただいて、明日の夕方お返事しても大丈夫でしょうか?」

と、その場では返して、時間をかけて考えるのも良いでしょう。

その結果、全てが「ノー」でなければ、相手に対して代替案を提示します。

「今日はこの後予定があるので難しいのですが、明日の朝すこし早く来るのでそれでもよいでしょうか?」

などです。代替案は前向きで現実的な内容にすると、相手に納得してもらいやすくなります。

相手からの依頼やお願いが自分にとって実現不可能と判断した場合は、理由を明確にして「ノー」を伝えます。

「今回は仕事が忙しくて一緒に行けそうにないの。なので旅行は遠慮しておくね。また機会があったら誘ってほしい」
「この仕事が終わるまで集中したいと思っているんです。なのでその研修への参加は避けたいです」

といった言い方ですね。

私たちがはっきりと明確に「ノー」を伝えることで、相手も私たちの「ノー」を理解することが出来ます。

上手な褒め方って?

ポジティブな感情も、伝えることは意外と難しいものです。こんなことをわざわざ言わなくてもいいのでは?と思ったり、言わなくてもわかってくれるだろうと判断したり。

また、相手との距離が近いほど、伝え方も照れくさくてぶっきらぼうになってしまったり、冗談っぽくしか言えなかったり。心当たりはありませんか?

アサーティブな褒め方では、相手に対して率直に、誠実に、対等に褒め言葉をプレゼントします!

以下にポイントをいくつか紹介します。

比較しない

相手を褒める際、他人や自分、社会でのイメージと比較するような言い回しは控えましょう。

褒められた側にとって、他者やあなたとの比較はお世辞に感じられ、「そんなことないですよ」「私なんてまだまだです」と反応せざるを得ません。

また、社会イメージとの比較は、悪気がなくとも相手にとってはとても失礼に当たる可能性があります。

「若いのに頑張ってるね」
「女にしておくのはもったいない」

などの言葉は、相手をステレオタイプなイメージに勝手に当てはめて褒めているのです。

自分の気持ちをプラスして褒める

何かをほめるときは「すごい!」「さすが!」「いいね!」といった感嘆詞で表現しがちですが、そこに具体的な褒め言葉も加えてみましょう。

「この間はプレゼン頑張ってたね!」

よりも

「この間のプレゼンは資料が良くまとまっていたし、質問の回答も良く練られていることが伝わって、本当によかったよ」

と、自分がどう思っているかまで伝えることでより具体的なメッセージとして相手に届きます。

自分が褒められたら、しっかり受け止める

自分が褒められたとき、照れくささから「やめてよ、大したことじゃないよ!」と否定してしまう。「私なんて全然ですよ……」と卑下してしまう。「次もうまくやれって言いたいんでしょ!」と斜に構えた受け止め方をしてしまう。これらはどれも相手からの褒めをしっかり受け取っているとはいえません。

褒められて照れてしまうことは誰にでもあることです。「私ってそんなキャラじゃない」などと思わずに、照れる気持ちを素直に言葉にすることで、双方がすがすがしい気持ちになることができます。

アサーティブネスを日常に取り入れよう!

日ごろのストレスが原因で人間関係が悪くなる、ということが解消されれば、より日々が生きやすくなるのではないでしょうか?

コミュニケーション方法の1つとして、日ごろからアサーティブネスを取り入れてみましょう!そうすることで、自分のことも、相手のことも尊重しようとする姿勢が、自然と身につくことでしょう。

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