Google Cloudで目指せる企業の業務改善とは|コストカット・売上増加を目指す
業務改善の一環として、既存の情報から次の経営戦略を立てるのは一般的な方法です。この際に役立つのがビッグデータ解析ですが、情報処理能力の優れたハイスペックコンピュータや、専門のソフトウェアが必要になることもあります。初期投資費用を抑えて解析するには、クラウドサービスがおすすめです。その中でもGoogleが提供しているGoogle Cloudについて、どのようなサービスなのか簡単に解説します。
この記事の目次
Google Cloudとは?
Google Cloudの概要と、Google Cloudで出来ることをまとめます。
Googleが提供するクラウドサービス
まずは、クラウドサービスについて簡単に解説します。
クラウドサービスとは、ネットワークを通じてコンピュータのシステムを構成・稼働させられるハードウェア・ソフトウェアにアクセスできるサービスを指しています。
クラウドサービスを利用するメリットには、
- ハードウェアやソフトウェアを用意する必要がなくなる
- 複数人で共通の情報にアクセスできる
などがあり、オンラインストレージの活用などで業務の効率化・加速が見込めます。
一方、自社でハードウェア・ソフトウェアを保有・管理する従来型の運用方法(オンプレミス)は、自社内ですべて完結するため、より強固なセキュリティ対策が実施しやすくなるメリットが考えられます。
料金面で比較すると、クラウドサービスではハードウェア・ソフトウェアの使用量に合わせて料金が請求されるという契約が多いのに対し、オンプレミスではリース、もしくは購入で必要なハードウェア・ソフトウェアをすべて用意する必要があります。
そのため、クラウドサービスの利用はオンプレミスに比べて、初期投資費用が少なく、ランニングコストがやや高めになる傾向にあります。ただし、使用量が少ない場合は、オンプレミスでの機器入れ替えなどを考えると、ランニングコスト面でも安く抑えられるかもしれません。
Google Cloud(旧称:Google Cloud Platform、GCP)は、Googleが提供しているクラウドサービスです。
Google Cloudを使うと、各ユーザーは手持ちの端末からGoogleが提供しているこれらのリソースにアクセスして作業できます。
Google Cloudで出来ることは
Google Cloudでは、100を超えるプロダクトが用意されています。
以下に、代表的なものをいくつか例示します。
Cloud Storage
オンラインでデータを保管できる 。ストレージの種類は使用頻度が高いものから順にStandard、Nearline、Coldline、Archiveの4段階が用意されており、アクセス性能とコストによって使い分けられる。
Compute Engine
Google上に仮想マシンを作成して実行できる。通常は有償利用だが、リージョンでアメリカの一部地域(オレゴン・アイオワ・サウスカロライナのいずれか)を選択すると、汎用マシン(2つのvCPU、1GBのRAM、30GBのストレージ)を無料で1つ利用できる。
Cloud SQL
データベースやデータの作成・検索・操作などができるSQLをオンライン上に作成できる。MySQL、PostgreSQL、SQL Serverなど、一般に広く使われているオープンソースエンジンをサポートしている。
BigQuery
SQLを用いて、データの抽出・結合・集計・フィルタリングなどのさまざまな操作が実行できる。膨大なデータセットを高速で処理できるため、ビッグデータ解析などに活用できる。
Vision AI
AIが画像から被写体の人物や着ている服、テキストなどを認識して、自動でタグ付け・分類できる。「画像内に使われている商品を検出し、商品カタログを視覚的に検索する」などの使い方が可能。
ほかにも多数のプロダクトが展開されているので、自社に必要なものを選んで使用しましょう
Google Cloudを使って目指せる業務改善の一例
Google Cloudを使えば、コスト面のメリットが得られる場合があります。
例えば、これからビッグデータを扱う見込みのある企業の場合、新しく各種システムなどを整備していくのに必要な初期投資を大幅に軽減できます。
すでに自社ですべて用意して運用している企業でも、Google Cloudによってデータ処理速度が向上したり、大容量ストレージを活用出来たりメリットがあるため、順次切り替えていけば、将来的なコストカットが見込めるかもしれません。
セキュリティ面でも、自社運用よりGoogle Cloudのほうが高い安全性を確保できる可能性が高いです。
また、同じくGoogleが提供しているGoogle Workspace(旧称:G Suite)との親和性も高く、Google WorkspaceとGoogle Cloudを連携させることで、メールや監査のログをデータベースへ取り込んで、より長期的に保管できるようになります。
Google Cloudを利用するメリット3選
クラウドサービスの中でも、Google Cloudを使うメリットを3つ紹介します。
膨大な量のビッグデータを処理できる
Google CloudはBigQueryをはじめとして、膨大な量のデータを扱う処理を得意としています。
単純に処理できる量が多いだけでなく高速処理も可能で、少量のデータにも対応しているため、非常に使い勝手がいいです。
インフラ環境が安定している
Google Cloudは、Google社が運営しているクラウドサービスです。
強固な資本的基盤を背景に、データセンターとグローバルネットワークを構築しており、これによって動作のレスポンスが高いことも魅力のひとつです。
セキュリティ対策が充実
Google Cloudの専任セキュリティチームには、情報セキュリティをはじめとして、各種セキュリティにおける世界トップクラスの専門家が配置されています。
これにより、Googleそのもののセキュリティシステムはもちろん、ユーザーそれぞれのセキュリティ保護も円滑に行える体制を整えています。
Google Cloudの使用料金
Google Cloudは使用した分だけ料金が発生する、従量課金制を採用しています。
また、料金はプロダクトごとに異なり、それぞれどのようなシステムをどの程度利用するかによって、費用が大きく変わります。
Cloud Storageを使用した場合
例えば、Cloud Storageを使用する場合であれば、設定地域によっても利用料金が異なります。
Cloud Storageの料金は、1か月・GBあたり、以下の通りです。
Standard | Nearline | Coldline | Archive | |
---|---|---|---|---|
アイオワ | 0.020ドル | 0.010ドル | 0.004ドル | 0.0012ドル |
東京 | 0.023ドル | 0.016ドル | 0.007ドル | 0.0025ドル |
Storageの分類(Standard、Nearline、Coldline、Archive)は取り出し・更新頻度によって分類します。
取り出し頻度が少ないものほど保管にかかる費用は少なくて済みますが、取り出し・更新等のオペレーションにかかる料率が高くなります。
リージョンを東京に設定し、1TB(1,000GB)のデータをStandard Storageに、2TB(2,000GB)のデータをColdline Storageにそれぞれ保管する場合、月間で37ドルのコストがかかります。
これに加えて、ストレージ間での移動やネットワーク使用料、タグ付けの費用などが細かく加算されます。
BigQueryを使用した場合
BigQueryは、主に
- 分析料金
- ストレージ料金
の2種類から構成されています。
分析料金は従量課金制と定額制から選択できます。
従量課金を選択すると、毎月1TBまでは無料で、以降1TBにつき5ドルの料金が発生します。
定額制を選択すると、BigQueryを動かすための仮想CPU100スロットあたり、月額1,700ドル~です。
スロット数にも左右されるため、自社でのBigQueryの使用データ量を確認することをおすすめします。
ストレージの料金は毎月10GBまで無料で、10GB以降は1GBあたり0.010ドル~です。
300ドル分の無償チケットのほか、無料で使える範囲があるサービスも
新規登録者にはさまざまなサービスを体験できるように300ドル分の無償チケットが配布されています。
加えて、サービスの中には無料で利用できる範囲が設定されているものがあり、ごく少量のデータを取り扱うのであれば、無償チケットと合わせて実質ゼロ円でGoogle Cloudを利用できるケースもあります。
また、それぞれのサービスに対して個別に料金が設定されているので、使わない機能にムダなコストがかかる心配もありません。
他の有名クラウドサービスとの比較
Google Cloudのほかにも、大手IT企業が類似のサービスを提供しています。
特に有名なのが、Amazonが提供するアマゾンウェブサービス(AWS)と、Microsoftが提供するAzureです。
これらとGoogle Cloudを比較してみましょう。
Google Cloud | AWS | Azure | |
---|---|---|---|
運営会社 | Amazon | Microsoft | |
料金形態 | 従量課金 | 従量課金 | 従量課金 |
世界シェア率 | 10% | 32% | 23% |
(2022年10-12月期) | |||
メリット | ・データ分析に強み ・他のGoogleが提供している製品やサービスとの互換性が高い |
・世界最大規模 ・日本語サポートが充実 |
・Microsoft製品との相性がいいため、オンプレミス(オフライン環境)との互換性が高い |
Google Cloudの活用でAIやビッグデータ解析にトライ
Google Cloudは、Googleが提供しているクラウドサービスです。
自社で用意しなくてはならないハードウェア・ソフトウェアを最小限にし、コストを抑えながらセキュリティ面の強化、内容の充実が図れます。
Google Cloudは特に、大量のデータ分析を高速で処理することを得意としており、また豊富なバックグラウンドデータからAIの精度も高いものが期待できます。
企業側で使いたいシステムを取捨選択することで最良のパッケージを組みやすく、ムダなコストもカットできます。
AIの活用やビッグデータ解析を進めたい企業は、ぜひ導入を検討してみてください。