PayPal(ペイパル)とは?オンライン決済・送金をスマートにする方法とメリットを徹底解説
PayPalは、オンライン決済代行サービスです。各種通販サイトや個人間の送金など、様々なシーンで利用可能です。クレジットカードや銀行口座情報をユーザーに通知することなく支払を受けられるPayPalの登録方法・利用方法と、業務に効率的に活かす案について紹介します。
この記事の目次
PayPalとは?
概要
PayPalは、各種通販サイトなどで利用可能な決済代行サービスです。購入ユーザーのPayPalのアカウントから、販売者のPayPal宛に支払いを受けられます。
PayPalアカウントからは、各種クレジットカード、デビットカード、銀行口座への払い出しが可能です。
5つのブランド(VISA、MasterCard、JCB、AMERICAN EXPRESS、DISCOVER)のクレジットカードとデビットカードが利用できます。みずほ銀行、三井住友銀行、ゆうちょ銀行など、国内大手の銀行から信用金庫まで、幅広い銀行口座にも対応しています。
PayPalはピーター・ティール氏、マックス・レヴチン氏らが1998年に創業し、イーロン・マスク氏によって同年に買収されて成立した企業で、一時eBayの子会社化したものの、2015年にPayPal Holdingsとして独立し、現在も米国籍企業として運営されています。
PayPalを使うメリット
PayPalの取引では、取引相手に口座情報などを提示せずにお金のやり取りができます。購入者側は、PayPalにログインしていればクレジットカード番号やセキュリティーコードなどを入力する手間が省けます。
また、海外の通販サイトなどセキュリティ面で不安がある場合も、決済にPayPalを挟むことで、クレジットカード情報を直接入力する必要がなくなり、安心です。加えて、海外送金手数料が安価であることも、利用者に人気の理由です。
ユーザー需要の増加に伴って、PayPal支払に対応した企業・営業性個人も増えてきています。
PayPalを使う際の注意点
日本ではPayPalアカウントに銀行から入金することができません。
支払は
- カードから入金されたPayPal残高
- 紐づけられたカード、銀行口座への請求
から行われます。
これらの情報が必須なので、事前に紐づけ処理を行っておきましょう。
比較的安価とはいえ、各種手数料がかかる送金がある点にも留意が必要です。支払が一括しか対応していないため、高額商品の購入に利用してもらうのも難しいでしょう。
また、PayPal運営をかたる詐欺メールも多発しています。
よくある例としては、
- 一時的にアカウントが停止されそうな状態にある
- 支払いを受け取った
- 受け取った支払いが多すぎる(購入者が過払いの状態にある)
などを理由として、メール添付のURLからのログインや、商品発送を促す内容です。
仮にアカウントが本当に停止されそうな場合は、PayPal 公式のホームページからログインすれば、メールからではなくてもアカウント停止になりそうな原因を確認できます。
「支払いを受け取った」は商品が購入されたと錯覚させるためのメールです。商品を発送する前に、PayPalの公式からログインして、取引履歴を確認しましょう。
怪しいメールが届いた場合は、メールを開かずにそのまま公式ページの指定Emailアドレスへと転送してください。
偽、不正、またはフィッシングと、実際のPayPalからのeメールまたはPayPalウェブサイトとの見分け方を教えてください。|PayPal
件名に『PayPal』とあるからといって安易に信用せず、不審なメールには対応しないよう注意してください。
PayPalの使い方
PayPalにはパーソナル(個人向け)とビジネス(個人事業主・法人向け)の2パターンがあります。
ここでは、ビジネス口座の開設を念頭に解説しますが、パーソナル口座も同様の手法で開設できます。
登録方法
まずは、PayPalのビジネス口座ページにアクセスし、ページ右上にある『新規登録』ボタンをクリックします。
PayPalのビジネス口座ページ
クリック後に表示されるページで、『ビジネスアカウント』を選択して、下図下側の『新規登録に進む』をクリックします(個人向けアカウントを作成する場合は、下図上側の『パーソナルアカウント』を選択してください)。
次のページではメールアドレス入力を求められるので、指定したいメールアドレスを入力して『次へ』をクリックします。
登録後、メールアドレスの確認に関する連絡が届きます。
ビジネスアカウント利用者は、
- 事業者名の登録
- 本人確認手続き
- 銀行口座の登録
- FATCAの申告
- 決済サービスの導入
へとステップが進んで行きます。
FATCAは『外国口座税務コンプライアンス法』の略称で、アメリカに納税義務のある人がアメリカ国外の金融口座を利用した租税回避を防ぐための法律です。
個人事業主の場合は米国籍者、法人の場合は米国籍企業のみ、FATCAの申請が必要です。
本人確認
個人の本人確認は、
- eKYC
- 書類アップロードによる本人確認
の2種類から実施可能です。
対応書類は
- 運転免許証/運転経歴証明書
- マイナンバーカード
- 在留カード
のいずれか1点の原本です。
書類アップロード方式の場合は、これに加えて補助書類(公共料金明細、もしくは住民票の写し)を用意してください。法人の場合は本人確認手続き時に、上記のアカウント管理者個人の本人確認書類に加え、法人の本人確認書類が必要です。
法人の本人確認では、13桁の法人番号を用意しておきます。
アカウントページの開設が済んだら、上記の情報を集めた上で『マイアカウント』にログインします。
ログイン後、画面右上の『本人確認手続き』をクリックし、法人・個人の必要情報について入力していきます。
これらの情報を登録したのち、登録住所に対して1週間を目途に審査完了の通知が届きます。通知はハガキで送られ、中には5桁の暗証番号が記載されています。
マイアカウントにログインし、ガイダンスに従って、5桁の暗証番号を入力すれば、本人確認は完了です。
利用方法
ユーザーに商品購入等でPayPalを利用してもらうためには、PayPalで作成した『共有可能な支払リンクとボタン』をウェブページ上に張るだけでOKです。
- PayPalボタンのページに移動
- 料金設定を選択し、商品名、価格、通貨単位を入力
- 『作成』ボタンをクリック
の3ステップで作成可能です。
メッセージ等で連絡をくれた顧客に、PayPal.Meという手法で請求を出すこともできます。PayPal.Meは、英数字を組み合わせた自社専用の決済URLが作成できるサービスです。
また、一般的な請求書を振り出せる請求書ツールもあります。メールやリンク、QRコードの形で請求書を提示でき、利用者は画面上でその請求書を確認できます。
支払方法は通常のPayPal決済に加え、クレジットカード、デビットカードなどが選べます。
利用手数料
PayPalは、購入者ではなく販売者側が手数料を支払います。
決済代行サービスの場合、手数料は国内会員向けが売上の3.6%+40円、海外会員向けが売上の4.1%+40円です(2024年10月現在)。
また、海外決済に関しては通貨換算手数料として3~4%程度さらに上乗せが発生します。
銀行口座への引き出しは、5万円未満の場合250円、5万円以上は無料です。
ただし、アメリカの銀行口座への引き出しは、引き出し金額の2.5%の手数料が必要です。
販売利益を予想する際に、あらかじめこの手数料は計算に入れておきましょう。
ビジネスにおけるPayPalの活用方法
少額の決済で、かつ不特定多数の人とやり取りを行う場合、PayPal決済は非常に安心で便利です。
PayPalを利用すれば、自身(自社)の口座情報を提示することなく、末端ユーザーに代金を支払ってもらえるサービスです。
そのため、相手の素性が分からない決済については、PayPalを挟むことで安全性を担保できます。
例えば、以下のようなケースで、特におすすめです。
自社サイトで商品を売る際の決済方法として導入
ECサイトを自社で運営している場合、その決済方法としてPayPalの導入がおすすめです。
ただし、ユーザーがPayPalアカウントを持っている場合に限り決済が可能です。
PayPalの登録自体は無料なので、ほかの決済方法と合わせて設定しておくことで、海外顧客の取り逃がしを防ぎやすくなります。
ただし、商品1つあたりの決済額が少額の場合、1回の決済に対して基本手数料として固定で40円が引かれてしまう点については留意が必要です。
フリーランス(個人事業主)の個別取引
フリーランスは、一般的に本名の入った銀行口座しか持てません。
そのため、銀行振り込みで料金を受け取る場合、取引相手に自分の本名や口座番号を通知する必要があります。
PayPalであれば、個人名義の口座やクレジットカードに紐づけた報酬の支払・受取が可能なので、相手に個人情報を必要以上に渡す必要がありません。
小規模学習塾の月謝
個人経営型の学習塾では、月謝の管理を封筒などで行っているケースもあります。
しかし、現金でのやり取りは紛失リスクがあり、領収書等の発行にも手間がかかります。
おつりが必要になりそうな月謝であれば、釣銭の事前準備も必要です。
こうした手間を省けるのが、PayPalの魅力です。
各ユーザーにPayPal.Meのリンクを送信することで、PayPal上で一括した会計処理が可能です。
小規模決済から大規模事業まで幅広く使える!
PayPalは世界各国で利用者がいるオンライン決済代行サービスです。
登録料無料で自社の決済を代行してもらえるため、法人や個人の口座情報などを明らかにすることなくやり取りが可能です。
注意点としては、海外との決済では通常よりも利用料率が高くなる点があります。海外ユーザーが利用する可能性のある商品については、あらかじめ織り込んだ金額を提示するように気を付けましょう。
また、PayPalをかたる詐欺業者なども出没しているので、よりセキュリティ管理に意識を払うよう留意してください。