疲れが取れないと悩む社会人は「脳疲労」と「炎症」対策をしよう
「なんだか疲れが取れなくてダルい……」
なかなか抜けない疲れに悩む社会人の皆さんは、かなり多いのではないでしょうか?
不快な疲労感のせいで日々の仕事に身が入らないし、オフの日も楽しめない。改善しようと、ちゃんと睡眠を取って運動もしているけど、その効果はいまいち。
「もうしょうがないのかな……」と半ばあきらめている方もいるかもしれません。
でも、疲れに悩むことなく、毎日快適に過ごしたいですよね。
そんな皆さんのために、疲れが抜けない原因と、疲労の悩みを解消する方法を紹介します。解消法については、毎日忙しい社会人でもすぐ実践できるものを厳選しました。
この記事をきっかけに、疲れに悩まない健康体を手に入れましょう!
この記事の目次
取れない疲れの原因は何か?
株式会社ネオマーケティングの調査によると、「疲れの原因は何か」という質問に対し、20代以上の男女1000人中6割が「睡眠不足」と答えました。次いで「加齢」、「仕事」、「運動不足」と答える人が多いという結果になりました。
睡眠不足、運動不足といった生活習慣の乱れ、加齢による不調、仕事のストレス……。どれも疲れの原因と言われたら、うなずけるものばかりですね。
そもそも、「なぜか取れない疲れ」を引き起こしている根本的な要因は、何か知っていますか?
それは、「脳疲労」と「慢性炎症」です。この二つを放っておくと、ずっと取れない疲れや不調に悩まされ続けます。
「脳疲労」って何?
まずは、「脳疲労」について説明します。
「脳疲労」とは、「脳が過剰活動し、大量のエネルギーを消費すると起きる疲労感」のことです。
私たちの脳には、24時間休まず、動き続けている部分があります。この部分をデフォルト・モード・ネットワークと言います。
しっかり寝て、何もせずボーっとしていただけなのに、次の日なぜか疲労感があるのは、デフォルト・モード・ネットワークが過剰に活動してしまっているからです。車に例えると、エンジンをずっとふかし続けている状態です。
これが、「なかなか取れない疲れ」を生み出しています。
「慢性炎症」とは?
もう一つ、「慢性炎症」について説明します。
これは、「長期間にわたり、炎症がくすぶり続けている状態」のことを言います。
そもそも、「炎症」とは、「体に異変が生じた際の防御反応」です。切り傷を負ったとき、怪我の部分が赤く腫れて、熱を持ってジクジクと痛みますよね。これは、体内に侵入したウイルスなどを排除するためのメカニズムです。
普通なら、炎症は自然と治まるのですが、炎症が体内で長い間起き続けることがあります。
どんな時に慢性炎症が起きるのか、わかりやすく「肥満」を例に説明します。
太りすぎると、皮下脂肪・内臓脂肪から炎症物質が分泌されます。脂肪が付きすぎることは、人体にとって異常事態なので、免疫が対処しようと炎症を引き起こします。でも、いくら免疫が頑張っても、痩せない限り脂肪は消えないので、炎症はずっと続きます。
炎症は全身に広がり、体の組織の機能を低下させます。慢性的な炎症で発生した物質が、血管や細胞を攻撃し、破壊していきます。このまま放っておくと、動脈硬化や心臓病、糖尿病、さらに鬱病など、深刻な病気を引き起こします。
さらに、慢性炎症の怖いところは「はっきりとした自覚症状がほとんどない」ことです。
体が炎症反応によって徐々にむしばまれているのにも関わらず、当の本人は「最近なんか疲れが抜けなくてだるいなー」ぐらいにしか感じないのです。
これでは「単なる寝不足だろう」とか、「年のせいかな?」程度で片づけてしまうため、慢性炎症への対処をせず放置してしまいます。その間にも、病魔は確実に迫っているのです。
取れない疲れ解消法 ~睡眠・食事・運動だけでは不十分?~
では、取れない疲れを引き起こす「脳疲労」と「慢性炎症」を解消するには何が必要でしょうか?
第一に、「生活習慣の改善」が必要です。睡眠・食事・運動に気を付けることは、基本となります。
しかし、これだけでは「脳疲労」と「慢性炎症」を解消することはできません。なぜなら、この2つの大きな要因である「ストレス」への対策がなされていないからです。
脳疲労とストレス
「脳疲労」とは、脳のデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)が働きすぎることによって生み出されると説明しました。DMNが過剰に活動してしまう状態とは、未来や過去ばかりに考えが向いてしまっている状態です。
家でリラックスしていても、頭の中では心配事について考えていたり、寝るときに人間関係などで起きた嫌なことを思い起こして、眠れなくなったりすることはありませんか?
それは、心配事や嫌なことによる「ストレス」によって、DMNが過剰に働いてしまい、意識が「ストレス」となる出来事(過去・未来)にばかり向いてしまっている状態です。これでは、いくら休養を取っても、脳疲労は溜まるばかりです。
慢性炎症とストレス
「慢性炎症」は、心理的なストレスでも発生します。ストレスは体の遺伝子に影響を与え、炎症物質を増やす働きを持っています。この炎症物質が病気にかかるリスクを上げたり、体の老化をもたらしたりなど様々な悪影響を引き起こします。
このように、ストレス対策は、睡眠・食事・運動と同様、疲労の解消にとても重要です。ストレス対策を怠れば、取れない疲れを改善できません。
「でも、現代人なら誰もがストレスを感じているものだし、ストレス対策なんて人それぞれで万人に効果があるものなんてないでしょ?」
そう疑問に思った方のために、科学的に効果が認められたストレス対策を紹介します。
それは、「マインドフルネス」です!
「マインドフルネス」~科学が認めたストレス対策~
マインドフルネスを生活に取り入れることで、取れない疲れの解消に欠かせないストレス対策がバッチリできます。
いったい、マインドフルネスとは何か・・・?
簡単に言うと、「今、この瞬間に注意を向けること」です。
マインドフルネスは、近年科学や医学の世界で注目されています。なぜなら、心身の不調を改善する効果があることが、科学研究で明らかになりつつあるからです。
例えば、マインドフルネスは、ストレスを軽減し、脳がストレスに強くなる効果があるとされています。さらには、体内の炎症を減らす効果も認められています。これは、ストレス対策に持ってこいですよね!
もっとすごいことに、マインドフルネスはいつでもどこでも出来ます。道具は必要ありません。なので、忙しい社会人のみなさんも今すぐ始められますよ!
「早く教えてほしい!」と焦る方もいらっしゃるでしょうが、長くなってしまったので、マインドフルネスの詳しい解説は、次回の記事で紹介します。
記事の要約・まとめ
・取れない疲れは、「脳疲労」と「慢性炎症」が大きな要因となっている。
・「脳疲労」
脳には寝ているときも、何もせずボーっとしているときも、常に動いている部分(デフォルト・モード・ネットワーク)がある。この部分が過剰に働きすぎると、エネルギーを膨大に消費し、脳疲労の原因となる。
・「慢性炎症」
体に異変が起きた時の防御反応である「炎症」が、長期間くすぶり続ける状態のこと。
過食・偏った食生活や睡眠不足、運動不足、心理的なストレスなどが要因とされ、肥満やうつ病、心臓病、糖尿病、アレルギーの悪化、アルツハイマー病など様々な疾患を引き起こす。慢性炎症は、風邪のようにわかりやすい自覚症状がなく、大きな病気を発症するまで見過ごされやすい。
・脳疲労、慢性炎症を解消するには、睡眠・食事・運動の改善に加え、ストレス対策も重要。
科学的に効果が立証されているストレス対策の1つに、「マインドフルネス」がある。
・「マインドフルネス」
「今、この瞬間に注意を向けること」。ストレスの低減効果や、脳をストレスに強くする効果、さらには体内の炎症を下げる効果などがあるとされる。
いかがでしたか?普段、みなさんを悩ます「取れない疲れ」の犯人がわかったと思います。
次回の記事では、取れない疲れを生み出す「脳疲労」と「慢性炎症」の対策編として、「マインドフルネス」の簡単なやり方も含めて紹介します。
◆参考文献
・久我谷亮『脳疲労が消える最高の休息法【音声ダウンロード付き】――[脳科学×瞑想]聞くだけマインドフルネス入門』ダイヤモンド社(2017)
・清水徹男『不眠とうつ病』岩波書店 (2015)
・鈴木祐『最高の体調 ACTIVE HEALTH』クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2018)
・鈴木祐「体内に火事を起こして、あらゆる不調を引き起こす「慢性炎症」の話」
(https://yuchrszk.blogspot.com/2015/01/blog-post_16.html 最終閲覧日: 2020年3月11日)
・宮坂昌之・定岡恵『免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とはなにか』講談社(2018)