SendGridで販促メールとサポートメールを一元管理!
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SendGridは、マーケティングメールとトランザクションメールを一元管理できるクラウド型のメール配信サービスです。無料でもかなりの機能を使え、有償プランも比較的安価なので導入が簡単です。メリットとデメリット、初期導入方法を解説します。
SendGridとは?
概要
SendGridは、クラウド型メール配信サービスです。
現在の運営会社はアメリカ・カリフォルニア州に本社を置くTwilio Inc.です。
日本では株式会社構造計画研究所が正規代理店となって、日本語でのサポートや日本円での決済などを担当しています。
Twilioは時価総額110億米ドル以上(2023年末時点)、構造計画研究所の持株会社である株式会社構造計画研究所ホールディングスは時価総額222億円(2024年10月18日時点)と、いずれも大企業です。
SendGridは、メールサーバー構築やメンテナンスが不要で、アカウントを作成するだけでメールを送信できます。
メルマガの一斉送信や自動通知メールも作成・送信が可能です。
SendGridでできること
SendGridの基本的な機能は『多数の登録アドレスに対して同一内容のメールを送る』というものです。
SendGridでは、送る相手をセグメント分けすることで、より効果的な配信ができます。
また、ダイレクトメールは送って終わりというものではなく、効果検証によってそのメールが有効に処理されているか確認が必要です。
メールの開封状況や、メール内のURLリンクのクリック状況などをチェックすることで、DMの内容の捉え返しが可能です。
また、日本の代理店がサポートに入っているため、チュートリアルやよくある質問などの日本語ページが用意されている他、日本語での無料サポート体制も充実しています。
SendGridでできることについては、以下の『SendGridの料金体系と各プランでできること』で、より具体的に紹介します。
2024年4月に実装された新機能
2024年4月には、以下の6機能が新実装されています。
Email Actibity Feed
送信したメールの状況を把握できる機能です。
Additional Email Activity History
従来3日間(Proプランでは7日間)のみ閲覧可能だった、送信メールに対する各ユーザーのイベントデータを、最大30日間に延長できるアドオンです。サポートに連絡して追加申し込みが必要です。
Email Activity Feed API
Email Activity Feedのデータ検索や外部出力をするAPIです。APIは”Application Programming Interface”の略で、ソフトウェアやプログラム間をつなぐインターフェースを指します。
このAPIの利用のためには、Additional Email Activity Historyのアドオン購入が必要です。
Email Testing
Email Testingは、送信するメールを様々なプロバイダやデバイスでの表示を確認できる機能です。
Proプラン以上の契約で利用可能です。
Email Address Validation
『アドレス検証API』(Email Validation API)は、実際にメールを送信することなく、宛先のメールアドレスが有効かを確認できる機能です。
こちらもProプラン以上の契約で利用できます。
SendGrid Single Sign-on
Single Sign-On(SSO)は、アクセス管理プラットフォームと連携したサインオンを指します。Proプランでのみ対応しています。
類似サービスとの違い
同様のサービスで、メールマガジンやDM送付ができるものが多数あります。
ここでは、国内で多く利用されている他社のものと比較して、それぞれの強みを紹介します。
SendGrid | blastengine | WiLL Mail | |
---|---|---|---|
日本語サポート | ○※ | ○ | ○ |
主な特徴 | ・高い処理性能と到達率 ・柔軟な開発性 ・クラウド型 |
・API連携/SMTPリレー特化 ・日本国内への高い到達率と配信速度 |
・メール一斉送信に特化 ・プレミアムプランで様々なAPIが利用可 ・クラウド型 |
無料トライアル | Freeプラン有 | ○ | 14日間 |
最安値の有料プラン | 3,000円/5万通・月~ | 3,000円/1万通・月~ | 4,000円/月~ ※配信通数によって月額料金の変動あり |
blastengine
- API連携を利用したメール配信
- SMTP(Simple Mail Transfer Protocol、メールの送受信や転送のための通信プロトコル)リレー配信
- 配信結果の取得
といった、配信機能に強みがあります。
一方で、HTMLメールエディタなどの機能は姉妹サービスのblastmailでしか利用できず、メール単体での顧客管理などには不向きです。
WiLL Mail
ドラッグ&ドロップで使えるHTMLメールエディタなどが充実しており、配信結果などもグラフィカルで見やすいです。作成されたメールはスマホ環境にも自動で最適化されます。
一方で、SendGridに比べて料金がやや高いです。
SendGridを選ぶメリット・デメリット
【メリット①】専門知識なく美しいHTMLメールが作成できる
SendGridでは、メールのテンプレートが用意されています。
これを利用すれば、綺麗なデザインのメールを簡単に作成できます。
また、デザインエディタとコードエディタの2種類が用意されています。
デザインエディタでは、より直感的に自分の作成したいメールが作れます。
コードエディタを使うときには専門知識が必要となりますが、プログラムを調整することでより細やかな設定が可能です。
【メリット②】マーケティングメールとトランザクションメールを一元管理
企業が個別ユーザーに送りたいメールには、主にマーケティングメールとトランザクションメールの2種類があります。
マーケティングメールは、新商品のおしらせや特別なセールの実施連絡など、新規売上を目指して行うものです。
トランザクションメールは、本人認証の際の通知や、商品購入に際してのお礼のメール、ユーザーがサイト外部で特定の行動をした際のメール通知(ジムの入退館など)などを指します。
いずれも企業にとっては重要なメールですが、企業が自発的に発信するか、ユーザーの行動がトリガーになって発信するか、という大きな違いがあります。
SendGridは、両者を一元管理できます。
【メリット③】無料プランでほとんどの機能を利用できる
詳細は『SendGridの料金体系と各プランでできること』で後述しますが、FreeプランでもSendGridでできることの多くが実行可能です。
1日あたり100通以下という配信制限はありますが、小規模なメール配信から試してみたいという人には、特におすすめです。
【デメリット】日本語サポート体制への不安
SendGridはアメリカの企業が運営しているサービスです。
そのため、新機能のリリース発表は基本的に英語で行われています。
また、新機能の使い方に関するサポート情報も、英語版しか存在しないケースがあるようです。
現時点ではAPIなどに関するドキュメントも、現在は多くが日本語版に翻訳されていますが、一部対応が入っていないものもあるようです。
不明な場合は英語版ページを確認するか、『お問い合わせフォーム』からサポートデスクに連絡してください。
APIリファレンス概要
英語版ページ
日本の正規代理店が仲介に入っているため「まったくサポートが期待できない」ということはありませんが、国内企業とのサポートの差は生じてしまうかもしれません。
また、管理画面は英語表記のため、ある程度の慣れが必要でしょう
SendGridの料金体系と各プランでできること
Free | Essentials | Pro | |
---|---|---|---|
月額料金(税抜) | 0円 | 3,000~5,400円 | 14,000~165,000円 |
クレジットカード払 | × | ○ | ○ |
口座振込払 | × | × | ○ |
上限通数 | 100通/日 | 5万~10万通/月 | 10万~250万通/月 |
Freeプランは無料で利用できますが、日の上限発送数が100通です。
Essentialsプランは上限通数で月額に2パターンがあります。同様にProプランには5パターンがあります。
月間390万通以上のメール送信数を目安に、Proより上位のプランが用意されています。利用したい場合は、サポートへ別途問い合わせを行ってください。
Free | Essentials | Pro | |
---|---|---|---|
メール送信API | ○ | ○ | ○ |
マーケティングキャンペーン機能 | ○ | ○ | ○ |
独自ドメイン利用 | ○ | ○ | ○ |
送信元メールアドレスの変更 | ○ | ○ | ○ |
SPF/DKIM | ○ | ○ | ○ |
固定IPアドレス | × | × | ○ |
SMTPやAPIを経由して、システムからメールを送信できます。
メールの作成から配信まで、すべてをブラウザ上で実行できます。
マーケティングキャンペーン機能では、送信対象者をセグメント分けして、特定の条件に合致する人にのみメールを送信したり、CSVファイルを使用して一括でアドレスを登録したりといった操作が可能です。
また、独自ドメインの利用や、送信元メールアドレスの変更なども無料で対応しています。
Proのみで対応しているものの1つに『固定IPアドレスの付与』があります。
各プロバイダは、メールの送信元IPアドレスをメールの信頼度管理に利用しているため、固定IPアドレスの付与によって迷惑メール判定がされにくくなるメリットがあります。
Free | Essentials | Pro | |
---|---|---|---|
配信結果の確認・サプッション管理 | ○ | ○ | ○ |
配信状況の履歴保存期間 | 3日間 | 3日間 | 7日間 |
イベント通知 | 1つまで | 2つまで | 5つまで |
Parse Webhook | ○ | ○ | ○ |
Email Testing | × | × | 60クレジット/月 |
アドレス検証API | × | × | 2500回/月 |
配信したメールが届いたかどうかの確認(到達・再送・エラーなど)、開封されたかの測定、配信停止に関する管理などが実施可能です。
これらの情報は、Essentials以下のプランでは配信から3日間、Pro以上のプランでは配信から7日間保存されます。
『イベント通知』は配信に際して発生したイベント(送信完了、開封など)を指定のURLに投稿するサービスです。投稿先として指定できるURLがプランごとに、1件、2件、5件と差があります。
『Parse Webhook』は、指定したドメイン宛にメールが送られた際に、その内容を特定のURLに投稿する機能です。
Free | Essentials | Pro | |
---|---|---|---|
サブユーザ | × | × | ○ |
APIキー | ○ | ○ | ○ |
二要素認証 | ○ | ○ | ○ |
IPアドレスでのアクセス制限 | ○ | ○ | ○ |
TLS送信 | ○ | ○ | ○ |
パーミッション管理 | 3件まで | 3件まで | 1000件まで |
SSO | × | × | ○ |
日本語ドキュメント | ○ | ○ | ○ |
日本語サポート | ○ | ○ | ○ |
独立した子アドレスを追加できる『サブユーザ』機能もProでのみ使える機能です。テスト環境の構築や、送信するメールの種類に応じた使い分けが可能です。
『パーミッション管理』は、ログインのためのユーザー名とパスワードを複数作成できる機能です。認証情報を共有せずとも同一アカウントが利用できるようになります。
SendGridの導入方法
SendGridを利用するためには、アカウントの作成が必須です。
アカウントは、大まかに分けて以下のステップで作成可能です。
①新規会員登録フォームからの申し込み
下記URLにアクセスし、『無料ではじめる』ボタンをクリックします。
SendGrid公式ホームページ
利用規約、プライバシーポリシーを確認の上、メールアドレスを入力して『確認メールを送付する』ボタンをクリックすると、確認のメールが届きます。
メールに添付されているリンクをクリックして、ユーザー情報の登録に移行します。
そのページで、個人情報と利用目的を入力して『登録する』ボタンを押せば登録申請は完了です。
②登録内容審査
SendGrid側で、利用に適したユーザーであるかの審査が行われます。
審査結果は2営業日以内にメールで送付されます。
もしメールが届いてないようであれば、迷惑メールフォルダなども確認してみましょう。
③アカウントの発行
審査がOKであれば、ログイン情報が記されたメールが再度送付されます。
マイページIDとパスワードは紛失しないよう注意しましょう。
その後の操作方法については、公式の日本語マニュアルに方法がまとまっていますので、そちらを参照してください。
まずはFreeプランで小規模部署から導入検討を
SendGridは多数の顧客にマーケティングメール、トランザクションメールを送るのに優れたツールです。
Freeプランでもかなり多くの機能を利用できるため、1日に送るメールの件数が100件以内であればFreeプランでの契約で充分満足できてしまうかもしれません。
開発の余地が大きいトランザクションメールのAPI連携は、社員の出退勤管理等にも活用できます。
ある程度小規模な事業者はもちろん、大きな企業でも小規模な部署から導入をはじめてみることをおすすめします。
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