コンフリクト・マネジメントで社内トラブル解決! ~Win-Winの関係を築くために~

最終更新:2020年02月04日 公開:2019年11月28日

「〇〇部はいつも仕事を押しつけてくる。やる気ないな」

「××部は楽でいいよな、毎日のように定時で上がってさ」

「まじあいつ使えねぇな」

というようなことを思ったり、同僚同士で愚痴ったりすることはありませんか?それは会社内に潜む「衝突」や「対立」(コンフリクト)を解消できていない証拠です。
背景にあるコンフリクトに向き合い、このような状況をプラスに変える考え方が「コンフリクト・マネジメント」です。
日本の企業はコンフリクトを避けようとばかりし、いざそれが起きてしまうと効果的な解決法をとれない場合が多いです。その結果、コンフリクトをさらにエスカレートさせ悪循環に陥ることもあります。

そこで組織においてコンフリクトを大前提として受け入れましょう
対立が起こる原因を知っておくことで、落ち着いて対処できるようになります。
そのための考え方のひとつ、「コンフリクト・マネジメント」を紹介します。

タスク・コンフリクト

コンフリクトにはふたつの段階があります。その第一段階が「タスク・コンフリクト」です。
タスク・コンフリクトとは、立場の違う人同士が仕事の方針などを巡って、「こうすべきだ」、「いや、そうではなくて……」と対立することです。タスク・コンフリクトはさらにふたつのタイプに分けられます。

タイプ1:条件の対立

ひとつめのタイプが、立場や役割の違いから生じる「条件の対立」です。
上司と部下、営業部と開発部など、立場や役割が異なるということは、置かれている状況や達成しなければならないタスクもそれぞれ異なるため、対立が生まれやすいのです。

例えば、新商品開発についての場合……

営業「お客様のご要望通り、新商品の価格をもう少し抑えたいんだが……」
開発「これ以上価格を下げると、品質を保証できない。これが限界だ」

営業部は、お客様と会社内部との板挟みの存在になりがちです。お客様を第一に考えるあまり、ときに社内に無理を言うこともあります。
一方、開発部は、コスト、品質、納期など同時にクリアしなければならない課題をたくさん抱えています。

タイプ2:認知の対立

ふたつめのタイプが、戦略や方針に対する思考、価値観の違いなどから生じる「認知の対立」です。
いまの時代、企業が総務部や人事部、営業部など、機能の異なる部署を設けることは当たり前です。そのため、以下のような部署間でのコンフリクトが発生してしまいます。

例えば、電話でのクレーム対応業務が多いカスタマーセンターの場合…

人事「カスタマーセンターが適切な教育をしないから、新規採用者がすぐに退職するんだ」
カスタマーセンター「人事部の採用する人材に問題があるから、新規採用者が長続きしないんだ」

仮に、採用時、人事側が応募者に対してクレーム対応に関する説明を十分に行っていなかったとしましょう。それは、クレーム対応が多いことを説明すると採用活動が困難になる、という「人事側の事情」に基づいています。
人事側は、期日までに決められた採用者数を確保することだけを自分たちのタスクと考え、もっとも効率のいいやり方でそのタスクを達成したのです。
しかしそれは、カスタマーセンター側にとっては、「採用後のことに責任はない」という姿勢に映ります。結果、コンフリクトが生まれるのです。

タスク・コンフリクトの解消法

◆タイプ1:条件の対立の解消法

一歩踏み出し、どんなに言いづらいこともまずは伝えてみましょう

人は、相手の頼み事には気軽に応じられても、他者に頼み事をするのは苦手です。
「どうせ相手に取り合ってもらえないから」と勝手に決めつけ、言うべきことを言わないまま対立を深めているケースも多いのではないでしょうか。
まずはこの矛盾を埋めていきましょう。やみくもに頼み事をするのではなく、「それに応じることで相手はどのようなメリットを得られるのか」をしっかり考えることが肝心です。


◆タイプ2:認知の対立の解消法

全体としてのゴールをしっかり共有しましょう

部門ごとにクリアしなければならない課題は違いますが、会社として最終的に目指す方向は同じである、ということを忘れてはいけません。お客様に喜んで頂きたい、信用を得たいという、共通の目的やモチベーションがあるはずです。
また、「条件の対立」の解消法にも通じる部分はありますが、それらを言語化することがとても大切です。「分かってくれているだろう」、「察してくれるだろう」と受け身にならず、率直に話し合う場を設けるようにしましょう。

リレーションシップ・コンフリクト

第二段階が「リレーションシップ・コンフリクト」です。
リレーションシップ・コンフリクトとは、人間関係から生じる、相手に対する「嫌い」「腹が立つ」といった「感情の対立」を指します。
タスク・コンフリクトの「条件の対立」「認知の対立」を長引かせると、このリレーションシップ・コンフリクトに発展します。
相手の悪口や嫌がらせ、ひどい場合には相手の人格否定など、いったん感情的になってしまうと収集がつかず、解決が困難な状況に陥ることも多いです。

リレーションシップ・コンフリクトの解消法

いったん頭を冷やし、論点を洗い出すことに立ち返りましょう

まずは論点の洗い出しを行い、相手との一致点と相違点をそれぞれ明らかにすることが大切です。そして、「自分が絶対に譲れないポイントは何か」、「なんとかできるという許容範囲はどこまでか」を明確に定めます。
そうして決めたものをお互いに出し合い、どうすればWin-Winの解決ができるかを双方が考え、合意点を見つけていくのです。

ですが、「衝突」や「対立」は、なるべくならタスク・コンフリクトの段階で解消しましょう
感情的になってしまうと、本来の論点を見失い、争いの矛先がずれてしまいがちです。元々の事実とかけ離れたところで争っていては、解決できずただ時間を浪費してしまいます。
ですから、タスク・コンフリクトの時点で、適切なコンフリクト・マネジメントを行い、ひとつひとつのコンフリクトをそのつど解消しておくことが望ましいです。

コンフリクトを積極的に受け入れましょう

ここまでお話ししてきたように、コンフリクトそのものが悪いわけではありません。コンフリクトは組織が組織としてあるために必要な過程なのです。
逆に、コンフリクトがひとつもないところは組織としては機能していない、と言えるかもしれません。
組織において、衝突や対立が避けられないものならば、それらを上手く活用し、プラスの力に変えない手はありません。そのためには、衝突と解決を繰り返し、経験を積み重ねていくことが大切です

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