Windowsの新サービス「Copilot」とは? 各プランの機能、料金について
Microsoftの新しい生成AI、Microsoft Copilot (以下、Copilot)の概要、有料プラン「Copilot Pro」と「Copilot for Microsoft 365」の機能や料金、業務での活用法を紹介します。
この記事の目次
Copilotとは?
Microsoft Copilotは、生産性の向上や業務効率化を改善するための新AIツールです。
Chat-GPTが組み込まれている
Microsoft社はOpenAIとパートナーシップを締結しています。
OpenAIとは、人工知能(AI)の研究開発に焦点を当てたアメリカの非営利団体です。世間で使われている「Chat-GPT」は、OpenAIが開発したGPTシリーズです。
このGPTシリーズをベースにして、Microsoft社で開発されたのがCopilotです。
Copilotには、GPTシリーズの有料版であるGPT-4やGPT-4 Turboが組み込まれており、より精度の高い高性能な生成AIを利用できます。
プランごとの機能紹介
2024年4月現在、利用できるプランは下記3つです。
- Copilot
- Copilot Pro
- Copilot for Microsoft 365
3つのプランは、無料/有料、個人向け/一般法人向けの違いで区別されます。
Copilot:無料/全プランに標準搭載
Copilotは、Microsoftのアカウントがあればすぐに利用できます。
Copilotは、日常的な操作や業務における作業をサポートします。例えば、プログラムのコードを作成したり、アプリを立ち上げたり、画像の生成や文章の要約をしてくれます。
会話形式なので、あいまいな表現に対してもしっかりと処理をしてくれます。
例えば、「何か集中する手助けをして」とお願いをすると、応答不可モードやフォーカスセッションの提案が表示されます。
検索エンジンとしても使用可能です。Bing AIの機能をそのまま検索エンジンに用いています。
Copilotを起動するには、[Windows キー + C]または[タスクバーのアイコン]をクリックします。
チャット形式で指示(プロンプト)を入力します。1つの会話につき、30回まで入力可能です。
Designer(旧称 Bing Image Creator)で画像生成もできます。利用できる回数は、1日につき15ブーストまでです。
使用例:「5月5日の行事、鯉のぼりを題材にしたアイキャッチ画像を生成してください。」と入力した場合
Copilot Pro:有料/個人向け機能
Copilot Proは個人向けの有料プランです。Copilotの上位の機能を快適に利用できます。
プロンプト入力は無制限
チャット形式でのプロンプト入力が無制限に利用できます。
ピーク時のGPT-4とGPT-4Turboへの優先アクセス権
GPT-4とGPT-4Turboは無料版Copilotでも利用できますが、アクセスが集中するとGPT-3.5に切り替わることがあります。Copilot Proでは、ピーク時でもGPT-4およびGPT-4 Turboに優先的にアクセスできます。
Designerでの画像生成は100ブーストまで増枠
Designerでの画像生成の上限は1日につき100ブースト(無料版より85ブースト増加)です。ブースト時間も高速化して、生成にかかる時間が無料版より短縮しています。
Microsoft 365上でCopilotを利用可能
Microsoft365のWord/Excel/PowerPoint/OneNote/Outlook¹のWebアプリ・デスクトップアプリ²でCopilot Proを利用できます。
※¹ Outlookについては、Microsoftのメールアドレスが必要です。
※² Microsoft 365のデスクトップアプリで利用したい場合は、「Microsoft 365 Personal」 または 「Microsoft 365 Family」どちらかのライセンスを別途契約する必要があります。
Copilot for Microsoft 365:有料/一般法人向け機能
Copilot for Microsoft 365は、Officeアプリに組み込まれた生成AIサービスです。
OpenAIのGPT-4をベースにした大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)を各Officeアプリケーションに組み込んでおり、AIと対話形式でOfficeアプリに関する様々な提供が受けられます³。
AIが Excelのデータ解析、PowerPointで資料作成、Teams会議の議録・要約などを自動で行います。
Copilot ProもMicrosoft 365アプリ上で利用できますが、Copilot for Microsoft 365は、 TeamsやLoop、 Whiteboardなどその他Microsoft365のアプリとも連携して作業を補助してくれます。
※³ Copilot for Microsoft 365には、「GPT-4 Turbo」への優先アクセス権はありません。
参考動画『Copilot for Microsoft 365 | Work On』(Microsoft newsより)
Microsoft 365アカウント内のデータをもとにコンテンツ作成
無料版とCopilot Proは、インターネット上のデータや情報からコンテンツを生成します。
対してCopilot for Microsoft 365は、インターネット上の情報にプラスして、Microsoft 365のクラウドデータをもとにコンテンツを作成します。各企業や組織に最適化した文書・資料・メールの作成やデータ分析などを効率的に行うためです。
一般法人向けと銘打ったプランならではの特徴で、他2つのプランとの大きな違いです。
データ管理の徹底
Copilot for Microsoft 365で使用する企業データや入力した指示(プロンプト)は、Microsoft社に保存されません。
機密保持のためにデータの管理は徹底しています。
以下は各Microsoft 365アプリでの機能です。
Word:文書の要約や提案書作成
既存の文書ファイルなどを要約し、それをもとに提案書などを作成できます。出力する文書の形式やデータ図表の形式を指定することで、要望に沿った文章が作成されます。
Excel:データに基づく図表出力や統計計算
与えたデータに対して指定した図表を出力できます。また、データに対して統計的な数値計算(相関関係、トレンドの分析など)を行い、それについての解説文章もセットで出力できます。
PowerPoint:指定内容に基づいたスライド作成
資料の枚数やトーン、内容を指定し、掲載したいデータなどを与えることで、完成したスライド資料が作成されます。指示を加えれば細かい修正も可能です。
また、PowerPointアプリ内にDesignerの画像生成機能が直接組み込まれています。
Outlook:下書きの作成や予定の調整
宛先と内容や文体を指定することで、メールの下書きを作成します。すでに受け取っているメールや、過去のやり取りを踏まえて内容や文体を微調整します。また、受信メールから予定や日程調整を提案します。メールの中身を確認し、予定を調整し、返信するといった流れを自動化できます。
Teams:会議の要点整理と議事録の作成
Teamsでオンライン会議をしている際に、Copilotが会議の要点を同時進行で整理してチャット欄に表示してくれます。会議後には議事録を作成してくれます。
料金は?
Copilotは無料で利用できます。
Copilot Proの料金は、1ユーザーあたり月額3,200円です。
Copilot for Microsoft 365の料金は、1ユーザーあたり月額30ドル(約4,500円)です。ただし、年間契約のみです。
Microsoft 365ライセンスの契約が必要?
Copilot ProとCopilot for Microsoft 365は、Microsoft 365のライセンス契約が別途必要です。
Copilot Proは、Microsoft 365のデスクトップアプリで利用したい場合は、「Microsoft 365 Personal」 または 「Microsoft 365 Family」どちらかのライセンスを別途契約する必要があります。
Copilot for Microsoft 365は、下記のMicrosoft 365の法人向けライセンスのどれかを別途契約する必要があります。
- Microsoft 365 Business Standard
- Microsoft 365 Business Premium
- Microsoft 365 E3 / E5(大企業向け)
- Office 365 E3 / E5
各プランの比較表
料金 | 対象 | 加入条件 | |
---|---|---|---|
Copilot | 無料 | 個人 | Microsoftアカウントがあれば誰でも利用可能 |
Copilot Pro |
有料 (月額3,200円) |
個人 | Copilot Pro のサブスクリプション加入 ※「Microsoft 365 Personal」 または 「Microsoft 365 Family」 どちらかのライセンスを別途契約していれば、Microsoft 365デスクトップアプリで利用可能 |
Copilot for Microsoft 365 | 有料 (年間契約のみ。月計算で約4,500円) |
一般法人 |
下記の法人向けライセンスのどれかを別途契約 ・Microsoft 365 Business Standard ・Microsoft 365 Business Premium ・Microsoft 365 E3 / E5(大企業向け) ・Office 365 E3 / E5 |
まとめ
この記事では、Copilot、Copilot Pro、Copilot for Microsoft 365の3つの新サービスについて紹介しました。要点をまとめます。
・Copilotは、Windows 11から実装された新サービスです。Bing AIの検索エンジンを搭載しており、Windows内で業務を効率化するための様々なサポートを対話形式で提供してくれます。
・Copilotの無料プランは、チャット形式Web や Windows、macOS、iPadOS で利用できます。
・Copilot Proは個人向けの有料プランです。GPT-4、Gpt-4 Turboへ優先的にアクセスできたり、1日当たり100の画像生成(ブースト)ができたりします。料金は月額3,200円です。「Microsoft 365 Personal」 または 「Microsoft 365 Family」 を別途契約しているユーザーは、Word、Excel(現在は英語のみのプレビュー)、PowerPoint、OneNote、Outlookにおいて、さらに充実したCopilot機能を利用できます。
・Copilot for Microsoft 365は、「Microsoft 365 Business Premium」、「Microsoft 365 Business Standard」、「Microsoft 365 E3 / E5(大企業向け)」、「Office 365 E3 / E5」のどれかを契約している企業向けの有料プランです。年間契約でのみ(月額で約¥4,500円)利用できます。Officeアプリと連携したサービスを対話形式で提供します。
今後、Copilotは業務効率化に必須のツールとなるでしょう。