ITパスポートは現代社会人の基礎教養 試験勉強で適切な知識を身に着けよう
現代社会では、IT(Information Technology・情報技術)スキル無しで仕事をするのは困難です。ITパスポートは、企業経営とITの基礎知識に関する理解を証明できる国家試験です。具体的な試験の概要、取得による恩恵や受験方法などを解説します。
この記事の目次
ITパスポート試験とは?
試験の概要
ITパスポート試験は、ITを正しく理解し、業務に効果的にITを利活用できる知識を証明する試験です。
ITの利活用に関する国家試験の中では最も難易度が低いとされており、すべての社会人の共通的知識として求められる内容が問われます。
そのため、ITに関連する各種資格を取得しようと考えている方が、最初に取り組みたい試験です。
引用:https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/list.html
ITパスポートは経済産業省が認定する国家試験ですが、国家資格ではなく「その時点で認定に値するだけの知識があったことを証明する」試験である点に注意が必要です。
また、国家試験としては合格率が高いこと、試験日程が多いことなどから「誰でも取れて差別化が図りにくい」という評価を受けがちです。
一方で、ITパスポートに合格することだけに価値があるのではなく、パソコンやITに関する適切な知識を得るための学習目標として、大きな意味があります。
学習・取得することで得られるメリット
ITパスポート試験では、企業の法務、経営戦略等の経営面と、ITの管理知識、技術知識が問われます。
適切な営利活動、IT開発に関する正しい基礎知識を習得することが期待できます。
加えて、ITパスポートは国家試験ですので、合格すれば『ITパスポート試験合格』として履歴書に記載できます。
試験の受け方
申し込み方法・受験の流れ
試験日程は受験地によって異なります。
多い所では、週6回程度実施されていることもありますが、地方都市では月に1回程度の実施の地域もあります。
地域は都道府県庁所在地に加え、県下第2の都市でも実施されているケースが多いようです。それ以外の市町村に在住の方は、実施している市区を充分確認しておく必要があるでしょう。
申込は、ITパスポート試験の公式HPから、以下のステップで行えます。
- 利用者ID登録(初めて受験する場合のみ)
- 本パスワード・利用者情報登録(初めて受験する場合のみ)
- 試験会場・日程選択
- 受験手数料支払
- 確認表ダウンロード
受験手数料は税込7,500円で、支払方法はクレジットカード・コンビニ・バウチャーから選択できます。
バウチャー支払は受験手数料を前払いできる電子チケットを利用する方法です。
前払いによってチケット番号がWeb上で発行され、支払登録時にその番号を入力することで受験者が費用負担せずに受験できます。
企業が従業員に団体受験させるときに活用できます。
なお、コンビニ支払にする場合は、申込日を含めた3日後の23時59分が支払期限となるので注意してください。
確認表はいわゆる受験票のことです。当日までに確認表を印刷して、試験会場に持っていきます。これが無いと受験できないので注意してください。
確認表を印刷できない場合は、
- 受験番号
- 利用者ID
- 確認コード
の3点の控えを試験会場に持っていきましょう。
受験当日は、上述の確認表と顔写真付きの本人確認書類を提示して受験します。
顔写真付き本人確認書類は、運転免許証やマイナンバーカードなど、公的証明書で、かつ提示時点で有効期限内のものの原本が必要です。
試験終了後は2~3時間程度で試験結果レポートがダウンロードできるようになります。
受験月の翌月中旬に合格発表が行われ、合格の場合は受験月の翌々月に合格証書が送付されます。
より詳しい内容は、下記のITパスポート試験公式サイト『受験申込手順』を確認してください。
ITパスポート試験公式サイト『受験申込手順』
試験会場・試験日程
試験は、各都道府県の県庁所在地では週に1回程度以上、それ以外の地方都市では月に1回程度以上の頻度で実施されています。
町村部では実施されていないことが多いので、近隣の都市部で受験します。
試験日程も会場によって異なるので、自身に都合がいいタイミングでの受験を考えましょう。
また、受験に掛かる費用は高めですが、試験頻度は高いので何度も繰り返し受験可能しやすいです。
試験の内容
問題数は全100問、試験時間は120分で、CBT方式・4択形式で実施されます。
CBT方式は、コンピュータを用いて答案作成・採点を行う方法です。
実際の試験と同様の画面は公式HPからダウンロード可能ですので、事前に確認しておくことをおすすめします。
出題は、
- ストラテジ系(経営全般)
- マネジメント系(IT管理)
- テクノロジ系(IT技術)
の3分野から行われます。
ストラテジ系(経営全般)
ストラテジ系からは35問程度出題されます。
内容は、
企業と法務
企業活動、法務
経営戦略
経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ
システム戦略
システム戦略、システム企画
であり、経営戦略関連の出題が多くなされます。また、著作権や個人情報保護などの法務に関する内容も問われます。
マネジメント系(IT管理)
マネジメント系からは20問程度出題されます。
内容は、
開発技術
システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術
プロジェクトマネジメント
サービスマネジメント
サービスマネジメント、システム監査
です。
システムの開発方法やプロジェクト管理、システム監査の流れなどを把握しているか確認されます。
テクノロジ系(IT技術)
テクノロジ系からは45問程度出題されます。
内容は、
基礎理論
基礎理論、アルゴリズムとプログラミング
コンピュータシステム
コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア
技術要素
情報デザイン、情報メディア、データベース、ネットワーク、セキュリティ
です。
二進法などの基礎理論や、パソコンの仕組み、簡単なプログラミングに関する内容などが出題されます。
合格に向けた勉強方法と対策
合格基準と合格率
ITパスポートの合格基準は2つあります。
- 全体1000点満点の総合評価のうち、600点以上を取得すること
- 各分野1000点満点の分野別評価で、それぞれ300点以上を取得すること
採点はIRT(項目反応理論)に基づいて行われ、解答結果から評価点を算出して各問題の配点を決定します。
そのため、全体の正答率が6割を超えていても合格とならないケースもある点に注意が必要です。
ITパスポートの合格率は全受験者で50%程度です。
実務経験から学習内容を直感的に理解しやすい内容もあるかもしれませんが、少なくとも専門外の分野についてはしっかりと学習する必要があります。
効率的な勉強方法
ITパスポート合格に必要な勉強時間は、180時間程度と言われています。
ITの基礎知識がある人でも100~150時間程度は学習が必要と言われているため、スキマ時間を活用してコツコツ学習を進めるのがおすすめです。
通勤に片道1時間かかる人であれば、往復の通勤時間を活用して3~5か月程度で学習を完了させられます。
試験勉強では、インプットとアウトプットを繰り返すことがかなり効果的です。
必要な知識を頭に入れ、その知識を用いて問題を解く、あるいは業務に活かして、知識の定着を図りましょう。
また、株式会社スタディワークスが運営している『ITパスポート試験過去問道場』というサイトがあります。
こちらでは、ITパスポートの過去問にパソコン、スマホ、タブレットから挑戦できるだけでなく、解説も確認できます。
効果的な学習が可能ですので、ぜひチェックしてみてください。
参考書・過去問・オリジナル模試の活用
独学で取得を目指すなら、
- 参考書(テキスト)
- 問題集
の2つは用意することをおすすめします。
参考書で基礎的な知識をインプットして、問題集でその知識を答案作成に活かす方法を学びます。
参考書類は自分が使いやすいもので構いませんし、問題集と参考書がセットになったものを利用してもいいでしょう。
過去問は、公式ホームページ内に問題と答案のセットが用意されていますが、誤答に対する解説を確認することも重要ですので、書籍を購入することをおすすめします。
また、オリジナル模試や予想問題集のようなものを利用することで、より試験に備えられるでしょう。
独学ではなく通信教育等を利用すればより内容を理解しやすくなり合格率は高まりますが、その分費用はかさみます。
自分の使える時間、受講料などと相談して、どのような学習方法で進めるか決定することをおすすめします。
引用:https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/index.html
ITパスポートは有用な国家試験
ITパスポートは、最低でも月に1回以上は全国で実施されている国家試験です。
内容は企業経営、IT管理、IT技術に関するもので、全100問の4択問題を120分で解答するというタフなものではありますが、合格率は50%程度と難易度はそこまで高くありません。
合否に関わらず、ITパスポートで学習する内容は社会人として働くうえで非常に役立つものが多いです。
ITパスポート受験に向けて学習を進め、企業経営やITに関する理解を深めましょう。
また、さらに上のステップとして情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験など、情報処理技術者が理解・合格したい国家試験も用意されています。
ぜひチャレンジしてみてください。